グレタ・ガルボその愛と孤独〈上〉

１９９４年出版、全２６９ページ、時は１９３８年の夏、当時２４歳であった著者は伝説的女優であるグレタガルボの伝記を書く為に彼女に会う（彼女はこの３年後に３６歳の若さで女優業を引退）前年にナポレオンの人生を描いた大作映画「征服」で２枚目俳優のシャルルボアイエと共演をしたものの興行的には大失敗に終わっています、当時３３歳のグレタはイメージ通りにひとに無関心で冷徹で近寄り難かったそうです、著者は努力の末にようやく彼女の心を軟化、でも「私は自分が生きている間に自伝が出る事は嫌なの。」と言われたそうです、同じくドイツ女優で裕福な軍将校の娘であった妖艶なマレーネディートリッヒとは異なり、グレタの家はとても貧しく父親はアル中で上のふたりの子同様、彼女も小学校を出ると直ぐに働きに出る、１９２０年に夢見がちな性格な大好きだった父親が４８歳で急死、牧師の紹介で１５歳でデパートの売り子となる、１９２１年に１６歳でデパートの宣伝短編映画に出た事がきっかけで女優を夢見る様になる（貧しく無名である彼女には早くからパトロンがいたとの説もある）１９２２年に１７歳で映画「浮浪者ベッター」に端役出演、ドイツの偉大な映画監督であったマウリッツ・ステイルとの運命的な出会い、「友人を決して作るな、本心を決して話すな、ひとを避けろ。」と教えられたそうです、ビックリですよね、本格デビュー作は１９２４年公開の「イエスタ・ベルリング物語」、２５年に「喜びなき街」に主演、ですがこの２作品は前衛的過ぎて不評に終わる、ステイル監督に連れられハリウットへ、しかし当時１９歳のグレタはまだ太めでやぼったい印象でＭＧＭ社の社長のルイスＢメイヤー氏は全く興味を示さなかったが、ステイル監督が専属となるという条件で彼女も週千ドルの１年契約を結ぶ、当時のニューヨークを墓場の様に思ったといいますが、禁酒法が施行されていた時代ですからそう感じたのでしょう、当時のハリウットではグレタよりも５歳上の愛らしい少女の様な女優のヘレンヘイズ（代表作「散り行く花」）や１６歳上のチャップリンなどが大スターとして君臨をしていた、当時グレタは背が高すぎるとの理由でチャップリン映画の相手役女優テストに落ちている、ハリウットデビュー作「イバニエズの激流」が会社の予想に反して大成功を収めるとルイスＢメイヤーも彼女を認める様になるが、彼は後に当初、彼女を冷遇をした為に彼女に嫌われ、その事をずっと後悔し続ける事となる、「彼らは金儲けの為ならば、わずか数ドルで自分の親さえも平気で売る連中だ。」的を得た表現ですよね、こうして彼女はスター女優への階段を駆け上がる事となる、そんな中、無声映画スター俳優のジョンギルバードと出会う事となる。